2017年12月20日

会議の進行方法・ファシリテーションを学ぶ  ~挨拶・司会進行から議論のコツまで~

上司から会議の進行役を任された場合、名誉に思う半面、戸惑う人は少なくありません。

しかし、事前に会議の進行方法・ファシリテーションを学んでおくことで、会議を上手に進めることが可能です。

会議には目的別の種類と、それぞれに沿ったファシリテーションがあることを知っておきましょう。 これは参加メンバーに失礼や不満がないようにするためのスキルともいえます。

まず正しく、効率のよい会議を行うためには、事前準備が重要です。 こちらの記事では事前準備から挨拶、議論のコツまで、実際に役立つ内容を紹介します。

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1. 会議の目的と種類

会議の目的と種類は、大きく3つに分けることができます。
まずは自分の会議が3つのどれにあてはまるかを考え、目的を定めた上で、それに応じたルールを取り入れていきましょう。

① 報告・連絡・共有などのコミュニケーション会議(オリエン・キックオフ含む)

コミュニケーション会議の目的は「伝える」ことです。参加者同士が、担当分野の内容を話し、情報共有をします。
オリエンの場合は、企業の方針やルールを新人に伝える場、キックオフの場合はプロジェクトの目的や個人の役割分担を伝える場となります。

② 問題発見、意見、アイデア出し(ブレインストーミング)の議論会議

「提案」が目的の会議です。テーマに対して、参加者はあらゆる視点から自由に意見を述べます。
今までの発想の枠を超えた意見を求めるために行われることが多いため、否定意見を出したり結論を導いたりする必要はありません。

③ 合意形成などの意思決定会議

物事を決定した上で、次に進むための会議です。
各課の担当者は決定事項を各部署に持ち帰り組織内に指示・伝達を進めます。会議中にどれだけ皆が納得したかが重要視されます。

会議の大原則(ルール)と基本

本来、会議とは収益アップや業務効率化につながる重要なものです。
しかし、ただ時間を浪費し、参加者のモチベーションが低いままマンネリ化した会議を続けている会社は少なくありません。 これでは貴重な労働時間を無駄にしているだけです。
会議開始時には、開始を宣言しメリハリをつけます。前回のおさらいを行い、会議の議題(目的)確認を全員に徹底します。
もちろん、遅刻厳禁・時間厳守です。まずはこの最低限の会議ルールを徹底してください。

2. 会議の進め方・司会進行のコツ

次に、ファシリテーションの役割や会議内容ごとに求められるファシリテーションスキルについて紹介します。

会議のファシリテーションとは

ファシリテーションとは会議の議論や進行を円滑にし、会議の目的を達成するためのサポートスキルのことです。
具体的には、意思決定(合意形成)会議の場合は参加メンバー全員の納得を得ること、 意見、アイデア出し(ブレインストーミング)の議論会議の場合は発言を引き出すためのスキル全般を指します。
ここでポイントとなるのが、段取り・事前準備・コミュニケーションの3つです。
参加者が単に伝達事項を聞くだけの会議にならないよう、事前に会議の目的や内容、目標を周知させましょう。 またファシリテーターとは別に、現場責任者やリーダーがいる場合、事前に意見を確認しておくことも重要です。
進行中も、決められた人だけが意見を言う状況ではなく、参加者全員が本音で自由に意見を言える場の雰囲気づくりを重要視します。
また、意見が対立した際や険悪な雰囲気になった場合には、場を収めるためのコミュニケーション能力も必要とされます。

報告・連絡・共有などの
コミュニケーション会議のファシリテーション

コミュニケーション会議は、同じ目的・目標に進むため情報共有を行う会議でビジネスにおいて必要なものです。 しかし、報告・連絡の情報収集のみに陥りがちで、会議に参加するメンバーのモチベーションが持続しにくいという欠点もあります。
まず、報告・連絡時には各部署に持ち時間を与え、スムーズな発表を促してください。
報告・連絡を終えた後、意思決定者が内容に基づいて明確な行動方針を打ち出し、メンバーに伝える時間を確保します。 その際に、方向性だけでなく具体的なスケジュールまで伝えることができれば、なおベストです。
また、ホウレンソウにこだわりすぎるあまり、資料作りの労働コストが高くなることは避けましょう。
会議は報告・連絡の場ですが、それはあくまで他部署のメンバーに向けたものだと考えます。
あえて会議で発表しなくても良い内容は、朝礼で手短に伝えるほかネットやメールを利用して伝えましょう。 意見をコメントで書き込む方式をとることで、メンバーそれぞれが自分の都合の良い時間に内容を確認することができます。

意見、アイデア出しなど発言を活発にする
議論会議のファシリテーション

参加意欲を育み、発言しやすい環境作りとアイデアの素となる刺激を作ることがファシリテーターの役目です。 ただし単に自由な発言を促すだけでは意味はありません。 まずは、以下の点に留意してください。
  • いきなり「発言」させず、各自が「考える」時間を設ける
  • 「選ぶ」よりも「まとめる」ことを重視する
  • 良いアイデアや意見は、ホワイトボード等に書き出し、注目させる
  • 突飛な意見、無謀な意見だとしても否定をしない
  • 参加者に相手の話を聞く重要性を伝える
  • 事前ミーティングで出たアイデアも会議中に発表する

参加メンバーの合意形成を促す
意思決定会議のファシリテーション

合意形成をするためには、情報・決定方法・決裁者のどれが欠けてもその場で決定することはできません。 そのため、まずは事前に合意形成までのプロセスを決めておきます。具体的には、以下の通りです。
<会議前>
  • 決定すべき事項の明確化
  • 意思決定者の明確化
  • 1回の会議で決定するのか段階を踏むのかなどの策定
  • 決定までに段階を踏む場合は決定時期の目標設定
  • 全会一致または多数決にするかなど会議での決定方法の明確化
  • 意思決定者を会議に召集するとともに決定すべき事項の事前周知など
  • (必要に応じて)意思決定者に決定方法の共有
  • 必要最低限の人数(7人以内が理想的)を会議に招集
  • 意思決定に必要な資料などの事前準備
  • (必要に応じて)意思決定に必要な資料などを参加者に事前周知

<会議後>
  • 議題に沿った会議の進行
  • 論理の矛盾・飛躍などがあった場合の軌道修正など
  • 決定すべき事項に対する採決
  • 会議終了後の決定事項や課題などの取りまとめと会議参加者に対する共有
  • 会議で出されたアイデアなどを整理し、それを実現させるための策定など

これらのプロセスがあらかじめ決まっている上で、会議では「参加者全員が話し合う」という状態を作ります。 メンバーの発言が少ない場合は、ファシリテーターが率先して全員に1回以上は発言させるようにしましょう。

ただし、立場の強い人だけが自分の意見を述べて会議が終わるという可能性もあります。
その場合、最初に付箋を渡して「今から5分の間に自分の考えを書いてください」など、会議の前に参加者が考えて書く時間を設ける方法もあります。
また、最終的に決定に至らなかった議論や意見なども会議後に取りまとめた後、一覧表などに記載して参加者に周知しましょう。
会議には意思決定者の決定が必要不可欠ですが、あくまでも参加者が話し合った結果に基づいた合意形成であることを参加者全員が認識していることが重要です。 それを認識させることが、ファシリテーターの役割でもあるのです。

会議の効率化は
資料、根回しなどの事前準備とシナリオ作りがポイント

会議の効率化を進めるためには、事前準備が必要です。特に必要となるのが下記の点です。
・事前共有と根回しをする
会議前に参加者が情報を理解・共有した上で議論に入ることで、情報共有の時間を削減することができます。 ビジュアルを用いた資料を用いる、ネットツールを使用するなど簡単でわかりやすい方法がベストです。
また、意見が分裂しまとまらない事態を避けるため、事前に根回しをしておきましょう。 常に反論を好む人や、会議の方向性を壊してしまうタイプの人には、事前に話をしておきます。 ここで重要となるのは戦うのではなく、助けてほしいとの姿勢を見せることです。
・議題と時間配分を明確にする
会議は予定通り進むとは限りません。だからこそ、ある程度のシナリオを作り時間配分を把握しておきましょう。
事前に配布する資料にも時間配分やアジェンダを記載しておくと、参加者にも会議参加の自覚を促すことができます。
・携帯電話の使用を禁止する
携帯電話は便利なアイテムですが、会議中に電話が鳴ると部屋を出る人がいます。
結論を出そうとしているタイミングの場合、会議は停滞してしまいます。 緊急連絡以外の携帯電話の使用禁止を徹底することで会議の流れをスムーズにします。

3. 下手な会議進行は卒業!会議のマニュアルと進行の例文集

それでは、実際の司会進行時を想定した例文と共に、会議の進め方について見ていきましょう。

【挨拶の方法・フレーズ】
始めの挨拶と終わりの挨拶で会議の9割が決まる!?

今から会議が始まることを参加者に伝え、集中を促すことが最初の挨拶の目的です。
Point.1
まずセンターに立ち「本日はご多忙の中、お集まりいただきありがとうございます」と感謝の気持ちを述べましょう。
そして、外部の参加者がいる場合は司会者の自己紹介、会議参加者の紹介も行います。
Point.2
会議の目的、テーマ、結論を出す時間を告げます。ここで時間を区切ることで、参加者も時間を意識して会議に参加することができます。
Point.3
次に前回の会議の内容について軽く振り返っておきます。
前回の会議で出た有意義な意見は再度ピックアップすることで、流れを自然と引き継ぐことができます。
Point.4
「今日の会議の目的は◯◯です。◯時までに~~に関する結論を出したいと思っておりますので、ご協力よろしくお願いいたします」とわかりやすくはっきりと伝えましょう。
Point.5
最初の挨拶は会議の概要を伝えるものです。今回から初めて会議に参加する人がいたとしても、概要を話すことで流れを掴むことができます。
Point.6
「質問・意見がある場合は、挙手をお願いします」など発言方法についても伝えておきましょう。
Point.7
そしてもうひとつ重要となるのが、最後の挨拶です。
ファシリテーターは時間内に有意義な結論を出すだけでなく、参加者たちに「この会議に参加してよかった」と感じてもらう締めくくりをしましょう。
Point.8
基本的に最後は会議の内容を総括し決定事項を述べます。
会議の成果、会議の目的が達成されたことを伝えることで参加者の満足度が上がります。 この部分がないと「今日の会議は何のために行われたのか?」と不安や不満を抱く参加者も現れるため注意が必要です。
Point.9
そして最後に「素晴らしい意見をいただきありがとうございました」「皆様のご協力の元、最善の結論を導き出すことができました」など、シンプルな言葉で感謝の気持ちを述べます。

最初と最後で会議の良し悪しのうち9割が判断されます。奇をてらったあいさつをする必要はありません、しっかりと基礎に沿った挨拶を行いましょう。



会議のマニュアル

Ⅰ 会議の始め方

会議開始を宣言します。
「時間になりましたので、今から会議を始めさせていただきます」
「お集まりいただきありがとうございます。只今から~~に関する会議を始めます。本日司会進行役を務めます、◯◯と申します」

Ⅱ 時間厳守の方法

コミュニケーション会議の場合、連絡・報告が長引くと参加者のモチベーションが下がります。
「お話中申し訳ありません。残りの連絡事項につきましては、メールにて後ほど参加者に配信をお願いします」など他の方法で伝えることを促します。
ブレストの場合は「意見が活発に出ているところ申し訳ありません。 一旦、こちらの議題は終了させていただきます。また後ほどお時間を取らせていただきますのでご了承ください」と、会話を一時保留に導きます。
合意形成を促す意思決定会議の場合、2人が対立し長引くことがあります。
「すみません。少し他の方の意見もお伺いしようと思うのですが、◯◯さんいかがでしょうか?」など自然な流れを作ります。

Ⅲ 議論脱線時の戻し方

「すみませんが、◯◯に関する発言をお願いします」
「申し訳ありません。◯◯に絞ったご意見をいただきたいです」
会議の流れを完全に断ち切ってしまわないよう、柔らかい口調で告げましょう。

Ⅳ 会議の終わり方

会議の終わりには、貴重な時間を割いて会議に参加してもらった事に対する感謝を述べます。
「以上で◯◯に関する会議を終了させていただきます。ありがとうございました」
「大変中身が濃い会議となりました。以上で閉会いたします。また、次回までに各自◯◯をお願いします」

最後に会議終了、そして次回会議までの各自行うべき内容をはっきりと告げます。

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